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病院のうす暗い廊下を歩く。
自分の靴音がやけに響いた。
「美香ちゃん!来てくれたのね。」
真っ赤に泣き腫らした目をして、おばさんは廊下に立っていた。
「おばさん、彩の容態は…」
「美香ちゃんに電話をした後に、意識を取り戻してね。先生はもう大丈夫だろうって。」
「よ…良かった。」
おばさんにしがみついて私は泣き出してしまった。
おばさんの暖かい手が私を抱きしめた。
「美香ちゃんにも心配かけたわね。ごめんね。」
「ち…違うの…おばさん…私……。」
私は、首を振ることしか出来なかった。
「わたし…私…何も出来なくて…。」
「何言ってるの…こんなに想ってくれてるだけで、いいのよ。」
おばさんの言葉に胸が詰まった。
「心配して駆けつけてくれて…ありがとうね。」
「おばさん…。ほんとうに…よかった。」
「そうね…ほんとうに良かった。…やだ、おばさんも又、涙出てきちゃった。」
二人で抱き合って、彩の無事を喜んだ。
「彩、今は眠ってるけど、顔見てあげて。」
「はい。」
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