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平手打ちを食らわした男に助けられるなんて、不思議な気分だ。
あんなことをして殴られるのは当然だけど…
でも、叩いた私にこんなによくしてくれるなんて、コイツなに考えているのだろう。
会話の途中で、ふいに何処かへ向かった男の後姿を見ながら不審な目を向けてしまう。
何を考えているのだろう…
でも…
この人が来てくれなかったら、あんな場所で泣き崩れて、散々泣いた後、我に帰って、みっともない顔で足を引き摺りながら会場に荷物を取りに戻るはめになっていたはずだ。
あらためて思うとゾッとした。
そんな風に身も心もボロボロになる前に彼が助けてくれた。
何を考えているかわからない男だが…
悪人ではないのかも…
イヤ…どうだろ?
…嫌がらせで人にキスするような男なんだよ。うっかり信用したら痛い目みるんじゃないか?私?
自問自答していると急にくしゃみがでた。
とたんに悪寒が走る。
寒…ああ…足を冷しているせいか…
痛みが治まるにつれて、冷たく感じるようになった足から体温が奪われるように感じる。
それでさっきから肌寒く感じたのか…
肩のあいたドレスのせいかと思っていたのだ。
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