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手当てをしてもらう時に邪魔になったので畳んでテーブルに置いてあったショールを取ろうと私は手を伸ばした。
すると、体を起こした私をやわらかくて暖かいものが覆った。
私を包んだのは柔らかい毛布で、驚いて振り返ると、後ろに彼が立っていた。
「冷えるだろ。」
そう言うと側に来て、肩から流れる毛布の端を合わせ、私を包む。
さっき、奥へ行ったのはこれを取りに行ってたんだ…
「あ、ありがとう。」
至近距離に寄られて、思わず心臓が音を立てた。
コイツの性格の悪さに気を取られて意識してなかったけど…
サラサラの銀髪に整った顔立ちに綺麗な青い瞳…
こんな雑誌や映画から抜け出たような綺麗な男が目の前で動いている状況に、非現実感を感じる。
内心の動揺を必死で抑えていると彼は、足の氷のうの位置を直して、私のよりかかっていたクッションを退けてそこに座ると私を自分にもたれさせて、そのまま毛布ごと私を抱きしめた。
「え!え?ちょ、ちょっと。」
毛布ごととはいえ、後ろから抱きしめられている状態で私は『油断した!』と慌てた。
腕から逃げ出そうにも体勢的にうまく身動きが出来ない。
「何してるのよ。は、なして。」
首を捩って必死に訴えようとしたとき、肩に重さがかかった。
「あんな所で一人で泣くな。」
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