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龍と貴志は三国スカイラインを何往復もして走りまくった。
走りまくって、心身ともにマシンそのものを吸収しようとするように。
そんな時、対向車のヘッドライト。そのヘッドライトを目にして、
「!!」
全身に電撃が走った。
「香澄!」
「香澄ちゃん!」
すれ違い様に見る、コズミック-7。香澄は来たのだ、三国スカイラインに来たのだ。
香澄の目も、スープラとRX-7に向けられていた。
「龍、貴志……」
ぽそっと香澄はつぶやいた。
新たなマシンで香澄を追う。それが龍と貴志の出した答え。
「あいつら気合入ってんなー」
すれ違う2台を見て優がつぶやく。
ぶつけられるエキゾーストノートのなんと高らかなことか。
東から西へと向かっていた龍と貴志は西側駐車場につくと出入り口のあたりで停まった。東側駐車場で折り返すであろう香澄を、コズミック-7を待つためだ。
アイドリング音に身を包まれながら車内にて、龍と貴志はフロントウィンドの向こうの闇を、見据えている。
コズミック-7を見た途端に走った電撃。それはいまも龍と貴志をしびれさせている。
「来い、早く来い……」
そうつぶやきながら、香澄を、コズミック-7を待った。
どれくらい経っただろうか。ヘッドライトの光が灯り、西側駐車場に走り屋の車が入るたびに龍と貴志は鋭い視線を送った。
違う、違うとつぶやきながら。
それは、永遠に続くかと思われる時だったが。この世に永遠なるものなどなく、やがて、それらしきヘッドライトが灯って駐車場にやってくる。
アイドリング音の響く車内にもなだれ込むマシンのエキゾーストノート。それは一発で、コズミック-7の3ローターだとわかった。
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