scene9 triple spirits

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 ――三国スカイラインを疾風のごとく駆け抜ける3台。  途中追いついた走り屋の車はことごとく道を開けて先に行かせた。誰も、3台と張り合おうとはしなかった。  3台はそれだけ突出していた。  先頭の龍は後ろの2台を引き離そうと、コンバースのハイカットを履く足でアクセルを開けてスープラを飛ばしていた。  しかし、なかなか引き離せない。それに対し、貴志のRX-7がスープラにぐんぐん迫ってくる。 「ちきしょう」  龍は舌打ちした。徐々にだがコツはつかみつつある。全身でスープラとリンクするような感触を感じつつあった。  そんな龍のスープラに対し、貴志は後ろからのプレッシャーに耐えながらスープラの動きをうかがっている。 (やっぱりブレーキングが早いな)  重量のあるマシンでは、むやみやたらとレイトブレーキングをすることはできない。軽く、さらにミッドシップで前の軽かったMR2に比べて。重く、FRでフロントに重いエンジンを積んでいるスープラは、そのパワーとあいまって慣性がつき、それにともない加速の勢いもつきすぎ。早めのブレーキングを強いられる。  龍はそれと苦闘しているようで。  貴志はそれを見抜いていた。 「いける、かな……」  貴志の目は鋭くスープラの挙動をとらえていた。そしてついに、下りの左コーナー、下りで勢いのついているスープラのブレーキランプが灯った。それと同時に貴志はRX-7をスープラのインに突っ込ませた。 「くそっ!」  龍は悔しそうに、RX-7の右サイドを睨んだ。が、どうしようもなく、RX-7を前に出すしかなかった。 「うっしゃ!」  コーナーを抜けて、一瞬だけミラーを覗いて貴志は心の中でガッツポーズした。 「ほう」
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