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――三国スカイラインを疾風のごとく駆け抜ける3台。
途中追いついた走り屋の車はことごとく道を開けて先に行かせた。誰も、3台と張り合おうとはしなかった。
3台はそれだけ突出していた。
先頭の龍は後ろの2台を引き離そうと、コンバースのハイカットを履く足でアクセルを開けてスープラを飛ばしていた。
しかし、なかなか引き離せない。それに対し、貴志のRX-7がスープラにぐんぐん迫ってくる。
「ちきしょう」
龍は舌打ちした。徐々にだがコツはつかみつつある。全身でスープラとリンクするような感触を感じつつあった。
そんな龍のスープラに対し、貴志は後ろからのプレッシャーに耐えながらスープラの動きをうかがっている。
(やっぱりブレーキングが早いな)
重量のあるマシンでは、むやみやたらとレイトブレーキングをすることはできない。軽く、さらにミッドシップで前の軽かったMR2に比べて。重く、FRでフロントに重いエンジンを積んでいるスープラは、そのパワーとあいまって慣性がつき、それにともない加速の勢いもつきすぎ。早めのブレーキングを強いられる。
龍はそれと苦闘しているようで。
貴志はそれを見抜いていた。
「いける、かな……」
貴志の目は鋭くスープラの挙動をとらえていた。そしてついに、下りの左コーナー、下りで勢いのついているスープラのブレーキランプが灯った。それと同時に貴志はRX-7をスープラのインに突っ込ませた。
「くそっ!」
龍は悔しそうに、RX-7の右サイドを睨んだ。が、どうしようもなく、RX-7を前に出すしかなかった。
「うっしゃ!」
コーナーを抜けて、一瞬だけミラーを覗いて貴志は心の中でガッツポーズした。
「ほう」
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