scene10 last run

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 それからの24時間、それぞれがそれぞれの思いをめぐらせながら、夜を迎えて、三国スカイラインの西側駐車場に集った。  他には誰もいない。今夜は三国スカイラインの貸切だ。  コズミック-7、スープラ、RX-7はアイドリング音をさえずり。スタートを待っている。  龍と貴志と香澄は、車から降りて顔を合わせる。優はいなかった。  最後の夜。のこのこと顔を出す野暮はしなかった。 「今夜で最後だな」 「うん。短い間だったけどね、楽しかったよ」 「それは走り終わってからの台詞だね」  それぞれ少しだけ言葉を交わし、視線を交わらせて、頷くと。それぞれの愛機に乗り込んだ。  言葉はいらない。  3人にとって走ることが、語り合うことだ。  エキゾーストノートを響かせ、身体で受け止めて……。アクセルを踏む。それが3人にとって意思疎通だった。  それぞれシートに腰掛けて。4点式シートベルトで身体を固定させて。ウィンドウ越しに視線を交わらせると、まず龍のスープラが動き出し。それに香澄のコズミック-7、貴志のRX-7と続き。  駐車場を出て、3台並ぶのをミラーで見ると。龍はアクセルを踏み込んだ。  3台のマシンのエキゾーストノートが炸裂し、夜空に轟いた。  龍はシートに押し付けられそうなGを感じながらステアを握りしめ、前を見据えて最初のコーナーをくりあしてゆき。コーナーの最中、タイヤはヒス女のような悲鳴をあげた。  同じように、コズミック-7とRX-7が続く。  コーナーをクリアしてゆけば、ストレートに入った。龍は、香澄は、貴志は鋭い眼差しで前を見据えてアクセルを踏み込めば。  マシンは吼え猛り路面を強く蹴って加速する。  景色が吹き飛ばされてゆく。Gが身体を圧迫する。
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