scene10 last run

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 オン・ザ・レールの一糸乱れぬ走行。  そのハイレベルな走りは、徹底した基本にのっとったものだった。  何事も基本が大事だ。ハイスピードであればあるほど、基本的な走りが求められ。以前のような、貴志の無茶なレイトブレーキングの突っ込みも、基本の上にのっとった応用的な走りなのだ。  基本なくして応用なし。  香澄はまさにそのお手本のようなドライバーだった。 (ああ、そうだ……)  ぴん、と貴志の脳裏になにかが閃いた。  それからじっとコズミック-7のリアテールを凝視する。  龍といえば、苦々しい思いを抑えながらRX-7の後ろにつけていた。  3台のマシンは夜闇を突き破るように三国スカイラインを駆け抜けてゆき。3台駆け抜けた後は切り裂かれた風が草木を揺らした。 「待てよ待てよ……」  貴志はミラーを覗いた。龍のスープラが仕掛ける気配はない。ここで仕掛けられれば、貴志がコズミック-7に仕掛けるチャンスがなくなってしまう。 「不本意だが、仕方ねえ」  RX-7のリアテールから気配がする。香澄に仕掛けようとする気配が。ここは無理にプッシュしないほうがよさそうだ。  3台はそのまま駆け抜けて、ついにストレートにいたった。  ストレートに入り、香澄は、貴志は、龍は思いっきりアクセルを踏み込んだ。マシンは雄叫びを上げて路面を蹴って加速する。  Gが胸を圧迫し、周囲の景色が吹っ飛んでゆく。
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