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「やったぁー」
貴志も、龍も、会心のパッシングだった。
(やっぱしそーだったか!)
貴志の読みは当たった。香澄の走りは基本に忠実だが、その基本に忠実すぎるのだ。前のバトルでのレイトブレーキングで香澄は前を譲った。そんな貴志をブロックしようと思えば、基本から外れたやり方でしかブロックできないのだが。
香澄はそれが出来なかった。
危険なやり方だが、香澄を抜こうと思えば基本から外れたやり方でいくしかない。貴志はそれを見抜き、また龍もそのおこぼれに預かったかたちだった。
が、龍もそのことに薄々気付いているようだった。
「そうか、基本に忠実すぎるのが香澄の弱点か」
ミラーを覗いてぽそっとつぶやく。
ともあれ、コズミック-7は2台の後ろとなり。そのまま西側駐車場にいたり折り返してコースになだれこんでいった。
「さあー、こっからが勝負だぜ」
貴志と龍はじっと前方を凝視し。後ろに気を取られないよう、気を張りつめた。
調子を掴んでか、RX-7とスープラのペースは上がているようだ。前の2台の走りが香澄の瞳を通じてAIユニットにそのことを伝える。
「……」
香澄は、コズミック-7は離されないように付き従うように走っている。
AIユニットではテラバイト単位のプログラムが無限とも思えるパターンのシミュレーションを叩き出している。
そうするうちにストレートにいたった。
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