scene10 last run

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「やったぁー」  貴志も、龍も、会心のパッシングだった。 (やっぱしそーだったか!)  貴志の読みは当たった。香澄の走りは基本に忠実だが、その基本に忠実すぎるのだ。前のバトルでのレイトブレーキングで香澄は前を譲った。そんな貴志をブロックしようと思えば、基本から外れたやり方でしかブロックできないのだが。  香澄はそれが出来なかった。  危険なやり方だが、香澄を抜こうと思えば基本から外れたやり方でいくしかない。貴志はそれを見抜き、また龍もそのおこぼれに預かったかたちだった。  が、龍もそのことに薄々気付いているようだった。 「そうか、基本に忠実すぎるのが香澄の弱点か」  ミラーを覗いてぽそっとつぶやく。  ともあれ、コズミック-7は2台の後ろとなり。そのまま西側駐車場にいたり折り返してコースになだれこんでいった。 「さあー、こっからが勝負だぜ」  貴志と龍はじっと前方を凝視し。後ろに気を取られないよう、気を張りつめた。  調子を掴んでか、RX-7とスープラのペースは上がているようだ。前の2台の走りが香澄の瞳を通じてAIユニットにそのことを伝える。 「……」  香澄は、コズミック-7は離されないように付き従うように走っている。  AIユニットではテラバイト単位のプログラムが無限とも思えるパターンのシミュレーションを叩き出している。  そうするうちにストレートにいたった。
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