scene10 last run

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 2台並んだままコーナーに突っ込む。  香澄のAIユニットは視界にデジタルメーターを表示し、そのメーターは常にレッドゾーンギリギリのところにあった。  それはコズミック-7の限界を示すものだった。 「くぅ……そがぁー!」  まるで磁石でくっついているかのように、アウト側のコズミック-7のタイヤはスライドしながらも路面に吸い付き。アウトに膨らむということはなかった。  コズミック-7はグリップのブレイク寸前のところでスライドをし、そのスピードもアウト側ながらイン側のスープラと同じものだった。  あとコンマいくらか数値が上がれば、メーターはレッドゾーンを突き破り、クラッシュだ。  そんなギリギリのところで香澄はコズミック-7をコントロールしていた。 (基本に忠実ったって、どこまで限界が高いんだ……!)  こうも横に並ばれてしまっては、龍としても打つ手なく。そのまま右コーナーをクリアしてゆき、次は左コーナー。となれば、香澄がイン側になる。  しかし龍もしぶとかった。  コズミック-7と並んだまま、左コーナーに突っ込んでゆこうとする。  香澄がしたように、今度は龍がアウト側から抜くつもりなのだ。 「いけえ……!」   タイヤがスライドし、それをコントロールしながらスピードをあげようとする。  だがしかし。  タイヤのスライド止まらず。スープラは龍の想定外の動きをする。 (やべえ!)  南無三。もうだめだ。さまざまな言葉が脳裏で反芻される。  スープラはアウトへとふくらみ、いくらアクセルを調性しようともタイヤは路面を掴みきれずに――  ドン!  強い衝撃が龍の全身を襲った。
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