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ふと見れば、駆け去ったと思っていたコズミック-7が折り返してスープラのそばで停まった。
「龍!」
スープラのへしゃげた様を見て、香澄は急いで下車して龍のもとまで駆け寄った。
その姿を見て、龍はため息をついた。
「負けだ」
「え?」
「オレの負けだ」
ポケットから煙草を取り出し口にくわえて火をつければ、ふぅー、と紫煙を吐き出す。
「龍……」
「意地張ってこの様だぜ。かっこわりいな」
それから、ふふ、と少し笑ったかと思えば、
「あっははははは――」
と、大笑いに笑った。
それを見て香澄は微笑み、貴志は苦笑いする。
マシンの咆哮に代わり、その笑い声が夜闇の中響いていた。
scene10 last run 了
epilogue に続く
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