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私は、のんびりと夫婦の居間で寛いでいた。
二階にあるその部屋は、南側を向いた大きな窓もあり暖かい快適な部屋だった。
続き部屋で、台所以外は完備されているのでほとんどの生活はこの一角で過ごせた。
こっちへきて通い始めた大学の課題を終えて、読書に夢中になっていると部屋の扉が勢いよく開いた。
「彩!彩のお父さんがよく行く釣り場ってどこだ?」
「は?」
珍しく誠さんが早く帰ってきたと思ったら、第一声がそれで、私はきょとんとした。
「釣り場だよ。釣り場。」
「え…どこだろ…えっと…この前、メールで湘北大橋の近くから出る船に乗って、釣りに行ってきたって写真送ってきてたっけ…。」
「わかった。」
誠さんは、携帯を取り出し、誰かと話を始めた。
私は、英語の勉強のために読んでいたハリーポッターの2巻目を置いて、誠さんの側による。
「…そうだ。見つかったら、必ずこちらに電話を入れてくれ。」
携帯を切ると誠さんは、フゥーとため息をついた。
「…ねぇ、いきなりどうしたの?」
「父が会社のパーティーを勝手にサボって、彩の父と釣りに出かけたらしい…。」
「はぁ?」
何それ…
サボって…
ええーーー誠さんのお父さんが!?
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