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「いやー、恵も弟との感動の再会を見せてくれるかなってさ。」
山田さんがニヤニヤ笑いながら言う。
私は、『感動の再会』という単語に顔が赤くなった。
「私のキャラじゃない。」
山田さんの言葉を一刀両断で、恵さんが切り捨てた。
木下さんが横で『うんうん』と頷くのが無性に可笑しくて私は笑ってしまった。
誠さんがそっと手を握り、私に優しく微笑む。
「彩。元気だったか?」
「うん。本当に驚いたよ、連絡くれればよかったのに。」
私の苦情に、誠さんは困った顔で言い辛そうにする。
「それが…。実は帰りの予定は明後日だったんだが、父から呼び出しが来たんだ。」
「お父さんから?」
「ああ。しかも彩も一緒にと言うから…迎えに来たんだ。」
「私も!?」
…誠さんのお父さんが私に何の用だろう。
…あまりの誠さんへの冷たさに、前回は喧嘩売っちゃったけど…今回は大丈夫だろうか。
強張った私の顔を見て、誠さんが安心させるように微笑む。
「大丈夫だよ。…父さんも彩のこと認めてるはずだから。」
「え?…そうなの?いつの間に?」
喧嘩売った以外に何かした覚えの無い私は、不思議に思って聞き返した。
「父さんも病院で彩のことをとても心配していた。あの様子なら、前回のようなことは言われないと思うが…まあ、とりあえず行ってみよう。」
「…うん。」
私は、緊張を胸に隠して頷いた。
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