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居間の窓際で、私はグラスに注がれたウイスキーを夕日に当てつつ眺めていた。
父はソファに腰掛けもの思いに耽っている。
かなりの時間こうしているのだが…
父は話を切り出す気配も無く…
別室に残してきた彩のことが気がかりだった。
久しぶりに彩に会えたのだ。
父といえど、邪魔してほしくないのだが。
篠原の屋敷に着くと、父の指示で彩は別室へと案内され、そこで待機を命じられた。
先に私と話したいとの事だったのだが…
居間へ入り、酒好きの父への土産として持って来た、木箱に入ったスコットランドのウイスキー、ボウモアを渡すと父は懐かしそうにビンを眺め、バーカウンターからグラス二つを取り出した。
一緒に飲もうということか…
父はじっくりとボトルを眺めたあと、封を切りグラスへと注いだ。
「変わらないな…この香り…。…よく見つけたな。」
父は満足そうに言う。
その声に探した甲斐があったと思った。
父がイギリスにいた頃…
母と出会った頃の酒をと…
手を尽くして探させて、手に入れたのだった。
ラベルも瓶もその当時のままのものを。
ウイスキーの入ったグラスを私にも手渡し、父は乾杯のポーズをとった。
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