離れていても #2

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「新しいロイドの当主に。…よくやったな。」 「…ありがとう。」 父の素直な賞賛が嬉しいものの、どこか寂しさを覚えながら、私はグラスのウイスキーに口をつけた。 独特な土の香り… 磯の香りもどこかから漂ってくるようだ… 若かりし父もこれを飲んだのか…そう思うと感慨深かった。 父は一口飲み込むと、目を細めた。 「…懐かしいな。」 満足そうに頷くのを確認して私は話を促した。 「父さん…今日は何の話…」 「まあ、待て。」 父が私の言葉を遮る。 そして、ゆっくりとイスの背にもたれ、瞳を閉じた。 何かを懐かしむように… そしてお互い無言のまま時間が過ぎていった。 静かな部屋に夕陽とウイスキーの香りだけが満ちた。    
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