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離れていても #2
車が誠さんの側に止まる。
私は、素早く扉を開け、誠さんに駆け寄った。
駆け寄った私は誠さんの側で止まろうとしたのだが、そのまま誠さんの腕の中にさらわれた。
抱きしめられ懐かしい誠さんのブラックティーの香りに包まれる…
私は腕を回して、誠さんの暖かさを確かめる。
本物の誠さんだ…
眼に熱が集まってくるのをなんとかこらえて私は囁いた。
「おかえりなさい。」
「…ただいま。」
誠さんが耳元で囁く。
それだけで、涙腺が決壊しそうだった。
「…びっくりした。もう、大丈夫なの?」
「ああ。…会いたかったよ。」
コホン
咳払いが聞こえて、私は今の状況にはっとして、誠さんから離れた。
周りを見回すと恵さんや誠さんのお付きらしい人に苦笑いが広がっていた。
その中には山田さんや木下さんもいた。
うわー、知らない人もいる中で私ったら…
「彩様、お久しぶりです。」
「木下さんもおかえりなさい。…もう、知らせてくれればよかったのに。」
「ほんとよね。」
恵さんも横に立つ山田さんを突付きながら不満を述べる。
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