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成田の澄んだ空に、また、飛行機が飛ぶ。
ーーーー『今日は3度か』屋上から空を見上げため息混じりに嘆くのは
狩羽 翼(カリワツバサ)
今日も必要のない眼鏡をかけながら歩く、
『進路どうする?』
『えー、特には・・・』
なんて同級生の他愛ない話を聞く、
(進路、ね)
そういえば進路面談とかで三上先生に呼ばれてたな、と思い出した。
そろそろ時間だから行かなきゃと、歩きだす。
そこに幼なじみの蒼乃空がみえた、
『空、』
そう声をかける、
彼女は
『ん、な~、か』
彼女はなぜか僕をな~と呼ぶ、
『進路面談でしょ、なんて答えた?』
『ユルキャラ』
マジか・・・と言葉が出なかった、
『な~は、やっぱりお父さんと同じ航空整備士?』
『かな、』
彼女の答えに驚きながらも普通に質問に答える、こんな感じて僕等は17年を過ごして来た、
僕の気持ちに気付かれない様に。
そしてその後空とも別れ面談室の前にきた
『狩羽です。』
『おう、入れ、』
ドアを開けたら相変わらずの三上先生だが疲れた顔をしていた。
『先生、なんかありました?』
『・・・人生いろいろだなと思ってな』
何となく察しはついたが
『お疲れさまです』
とだけ言っておいた、
『どうも、本題に入るが、お前はどうする?進路』
僕は苦笑いで答えた、
『航空整備士、ですかね』
その時また一基飛行機が飛んだのを僕等は知らなかった。
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