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「沙耶様!今日はよい天気にございますよ。いつまで寝ているのですか?沙耶様!沙耶様!?」
「う…ん…」
体を優しく揺さぶられ、重たげに目を開くのは見た目から美しい女性…
いや、女性の様で有るが、実は男性である。
「詩織、もう少し寝かせてくれても良いのではないか?」
ムスッとし、たった今自分を揺さぶり起こした女中を睨む「沙耶様」と呼ばれる男。
「そんな、もう日があんなに高くなっておりますよ?朝飯が昼飯になってしまいます」
そう開け放した障子戸の外に目線をやり、厳しく言う詩織は、早速沙耶の着替えを初めてようと帯に手を掛けた。
「なっ、お前は…着替えは1人で出来ると言っているだろう!」
慌てて詩織の手を掴み、怒る沙耶
「何を恥ずかしがっておられるのですか?私は貴方の世話係りなんですよ?
着替えをお一人でされる等、私が殿に叱られてしまいます」
「いいと言ったらいいのだ!私の命令が聞けないのか?
それならば詩織は私が着替えさせてやろう!」
「私はもう着替えています!」
そう、お互い言い合って睨み会う
詩織が沙耶のお目付け役になったのは、つい一週間程の事で
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