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「詩織?何をボーッとしているのだ?
飯にするのではなかったかな」
そう言って、身動きを取らず自分を見つめ続ける詩織を不審げに思い
腕を汲む沙耶
「あ、申し訳有りません
準備をして参ります」
自分が沙耶に見とれていた事に気づき、慌てて駆け出す詩織
「これ、廊下を走るでない!」
と、詩織の後ろ姿に渇を入れる沙耶
角を曲がり見えなくなった詩織の「はい!」という返事だけが聞こえ
溜め息に続いて笑いが溢れてしまった。
全く、そそっかしい奴だ。
だが、そこが可愛らしいとも思える。
何気無く外をに目線を向けてみれば、なるほど確かに良い天気であった。
後楽日和だ。
外の楓の葉が真っ赤に色付き、綺麗である。
少し寒いが、まぁいいかと
沙耶は、詩織が戻るまで外を眺めなから待つ事にした。
詩織は、自分がここに来てから3人目の世話係だ。
囚われたばかりの頃、お目付け役を着けると言う殿に頼み込んで、新しく雇って貰う事にしたのは自分だった。
元から此処に居た者に世話をされるのは息が詰まりそうだと思ったからである。
憎い憎い城主だが、猫かぶりをしていた方が都合よく進む
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