第1話

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学生時代も社会人になってからも 初めて会う筈なのに何故か向こうは自分を知っている事が多かった。 顔も知らない人に告白される事も多々あった。 だからだと思う。 木崎さんみたいな対応をされると斜に構えてしまう。 本当に興味が無い人なのか、興味が無い振りをしている人なのか。 大体こちらから話しかけるとそれが判別出来る。 木崎さんは前者だ。 同じ課に女性がいる事がちょっと憂鬱に思えたけれど、この人なら大丈夫だ。 (申し訳無いけど小池さんは例外) 自分に関わろうとして来ないだろう。 「只今戻りましたー。 おー羽山来てたの?」 明るい声で戻ってきた小川は自分を見つけるなり寄って来た。 ホント犬みたい。 「来てたなら連絡してよ。昼飯一緒に行ったのに」 「さっきまで打ち合わせ。言った所で小川居なかったし」 「あはは、そっか」 そんな自分たちのやり取りを見ていた木崎さんが「あ、そっか」と、声をだした。 「小川の送別会と羽山の歓迎会2回日取り決めるの大変だから一緒にしよ。歓送迎会」 「え?」 「課長。そしたら経費削減できますよ」 近くにいた課長に話を振った。 「あー、いいね」 「じゃあ、好きな店選んでいいから」 「もー、木崎さん。俺ら送られる側と迎えられる側なんですから」 当事者が幹事ってどう思う?と、小川は同意を求めて来た。
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