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「あー、仕事は出来るって噂ですよね。
でも可愛いやつですよ」
小川はそう言ってお得意のにかっとした笑顔を私に見せた。
「ふーん」
内示のリストに視線を戻す。
海外事業部、羽山理央か。
名前からするとちっちゃくて可愛い系?
まぁ、真面目に働いてくれればどんな子だって良いんだけどね。
「木崎さん。俺の送別会やってくれますよね?」
「あー、好きな所予約しておいて」
「ちょ、送り出される人が幹事やるんですか?」
小川とのそんなやり取りを聞いていた周りが笑い出す。
私の向いの席の嶋野さんはお腹を押さえていた。
「木崎、それくらいやってやれよ」
「流石に不憫だ」
「このやり取りももうすぐ見納めか」
小川は懐こい性格だから課内のメンバーに好かれていた。
「でも小川4月からも同じフロアにいるんでしょ?」
私の言葉に小川の笑顔は固まった。
「…………そうですけど。
駄目ですか?」
「……さぁ?」
首を傾げると小川は訴えかける様な瞳を向け
「まじ冷たい。木崎さん」
と、眉を下げて泣きそうな声を出した。
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