第1話

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「あー、仕事は出来るって噂ですよね。 でも可愛いやつですよ」 小川はそう言ってお得意のにかっとした笑顔を私に見せた。 「ふーん」 内示のリストに視線を戻す。 海外事業部、羽山理央か。 名前からするとちっちゃくて可愛い系? まぁ、真面目に働いてくれればどんな子だって良いんだけどね。 「木崎さん。俺の送別会やってくれますよね?」 「あー、好きな所予約しておいて」 「ちょ、送り出される人が幹事やるんですか?」 小川とのそんなやり取りを聞いていた周りが笑い出す。 私の向いの席の嶋野さんはお腹を押さえていた。 「木崎、それくらいやってやれよ」 「流石に不憫だ」 「このやり取りももうすぐ見納めか」 小川は懐こい性格だから課内のメンバーに好かれていた。 「でも小川4月からも同じフロアにいるんでしょ?」 私の言葉に小川の笑顔は固まった。 「…………そうですけど。 駄目ですか?」 「……さぁ?」 首を傾げると小川は訴えかける様な瞳を向け 「まじ冷たい。木崎さん」 と、眉を下げて泣きそうな声を出した。
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