最初が肝心

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楯一が去った後の雪音の席。 「中身大丈夫? 盗られてない?」 「学生証入ってたから大丈夫」 疑問に思う8人、1人がそれを口にした。 「お金は?」 「あっ、うん。学生証以外の中身は鞄の中に全部落ちてたから大丈夫」 「財布の意味は?」 初めて彼女が天然ではないかと疑う出来事であった。 「そういえば、今の人の名前知らないなぁ……聞いてこよ」 雪音は立ち上がり楯一の席へと向かった。 「先程はお財布、ありがとうございました」 「えっ、あっ、はい……」 いきなりの事態にキョドる楯一。 「浅本雪音です、よろしくお願いします」 「えと……河内…楯一です」 精一杯絞り出した言葉を照れながら放つ。 その瞬間、雪音の中で何かがはじけた。
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