最初が肝心

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由梨恵の席に行き、無理やり廊下まで引っ張る雪音。 「ちょっ、ユキっ!? どうしたのよ……」 階段の踊場まで来た所で雪音は止まった。 「河内、楯一くん……」 ワナワナと震える雪音を見て、何が起こるのか予想出来ない由梨恵は身構えた。 「か……可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」 由梨恵は思わず体勢を崩した。 「どこがっ!? そして何故ハンカチで口元抑えてんのっ!?」 「だって! 照れながら名前言ってるのがっ! ストライク! ハンカチは防音措置」 「つまり?」 「一目惚れ」 「ただのコミュ障でシャイな奴よ? どこが良いの……大体、あいつは――」 「知り合いなのっ!? 紹介してっ!」 その表情は由梨恵が今まで見た中で一番嬉しそうな顔だった。 「嫌よ」 「まさか……ユリの彼氏……!?」 「違うわよっ!!?」
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