―其ノ肆―

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 何よりも、節沢を心の底から信用したい。お互いに包み隠さず、全てを晒け出したい。その上で、愛したい。 「……駄目だ」  だが、節沢はその想いに答えてはくれなかった。 「やっぱり、私のことなんて愛してないのね」 「それは違うっ! ボクにはキミがいないと駄目だ!」 「ならどうして教えてくれないの!? 疑問点が多すぎるのよ! 毎晩の棘の奇襲に耐えるアナタは、一体いつ睡眠を取っているの? 何故掠り傷すら負ったことがないの? 一度でいいから夜の様子を録画して私に観せて! 私にアナタを信じさせて……心の底から愛させて」  胸の内を吐露する愛しい人。心の叫びとも言えるそれを受け止めた節沢は、頑なに拒んできた真実を紐解く。  自分だけ秘密を持ち愛しているだなど、都合のいい話である。どのみち永遠に隠し通せることではないのだ。  そして、彼は真実を告げる。 「優花。ボクはね、もう死んでいるんだ」  ――それは、あまりにも残酷な事実であった。 「……死んでる? え、それってどういう……?」 「おやおや? 痴話喧嘩かなお二人さん」  優花が言葉の真相を確かめようとした時、介入してきた第三者の声。二人が目を移すと、そこには三人組が立っていた。うち二人には見覚えがある。しつこく優花を狙うフェイルの二人組であった。  となると、残る一人に対する疑問が生じる。 「キミは誰だ?」 「初めまして。ボクは剣岳天吾。普通の高校一年生で、フェイルのメンバーだ」 「……加勢に来たのか」 「加勢というか、ボクのターゲットは別にいるんだどね。知っているだろ? 瀬野大介だよ」 「彼なら来ないわ」優花が告げる。「もう護衛の契約は解消したの」 「みたいだね。残念だよホント。まぁ、後で殺しに行くけどね」  ヘラヘラと笑うと、天吾は一歩後退する。 「というわけで、キミらの相手はアキラだよ」  代わりに前に出てきたアキラは、鎧を纏わず手元に日本刀を召喚する。刃をギラつかせ迫るアキラの前に、節沢が立ちはだかった。 「駄目よ一さんっ! 逃げてっ!」 「大丈夫」と、節沢は微笑んだ。「見ててくれ。これでキミの疑問が解けるから」
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