43人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
シーン5 #2
「逃がすかぁ!」
背後から腰に飛びつき、ズボンを下に引く。フン。普段から腰パンなんてだらしのない格好をしているから簡単に脱がされるんだ。
ずり落ちたズボンが足に引っかかり、派手にうつ伏せに倒れる宗太郎。ここぞとばかりに僕は奴のパンツをずり下げた。色々ととんでもないことになっているのはわかってる。後悔なら後でするから!
「……おぉぅ」
確かに、目があった。宗太のケツの描写というのはあまり気が進まないが、色白な尻の割れ目の間にピンポン玉サイズの目玉がギョロリと僕を見ている。
「もういいだろぉ。そんなにマジマジと見んなよぉー……」
うつ伏せで半べそをかきながら、宗太郎が訴えてきた。この状態で僕が凝視しているというのがわかるということは、どうやらこの目にはちゃんと視力があるらしい。
確認が終わり、知りたい欲求が満たされた今、後悔タイムが訪れる。自分の現状に吐き気が湧き上がるほどの嫌悪感に襲われ、取り返しのつかないことをしたと今更理解した。
「あっ、す、すまんっ!」
「いいから早くどけってぇー……」
「ただいまーっと」
このタイミングで兄貴帰還。神も仏もないのか。いや、神はいるな。胡散臭いけど。
「どうだ? 塩爆弾の方は……」
そこで兄貴は現状に気づく。下半身裸で尻丸出しの宗太郎。そこへ上乗りになる僕。
僕は生まれて初めて、走馬灯を見た。
最初のコメントを投稿しよう!