賢者の石争奪戦

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どのくらい逃げただろう。もはや来た道も、これから行くべき道も見失うような、木々の生い茂る場所へと迷い込んでしまった。 【小夜:もし花蓮があいつを瞬殺して追って来てたらやばいから、しばらく声を殺してかくれていよう】 そう言うと、カチュアはだまってコクリとうなずいた。 パイソンまで居なくなってしまって、何とも心細い感じになってしまった。 とはいっても、私だって正々堂々の戦いだっとしても並みのプレイヤーに後れを取る程弱い訳では無い。 この状況、何としてでもカチュアを守ってやることくらいは出来る。 【カチュア:冷静に考えたら、私もお留守番してた方がよかったかもね】 【小夜:そんな事ないよ。いざって時に回復魔術師は必要だと思うし】 【カチュア:まあ、そう言ってくれると嬉しいかも】 それからまた、しばらく黙って時が過ぎるのを待っていると……プレイヤーの近づく気配が近づいてきた。 そして私は、そのチャットに目を付けた。 【ディスト:にしても、その賢者の石発見機を持ってしてもこの広い山を探すのは骨が折れるなあ】 ……何て素晴らしい会話を堂々としてくれているのだろうか。 足音のする方向を木陰から覗いてみると、2人のプレイヤーが歩いているのが見えた。
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