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静かなその時間は、夜になり……突然変動した。 きっかけは、僅かな天井の軋み。 私と楓は、同時に動いた。そのままバックステップ。突然天井が割れて、2人のプレイヤーがこの部屋に降り立った。 ……宿に攻め込んでくるのは、重罪だ。別に警察とかが居る訳じゃ無いけれど、暗黙のルール。 宿の護衛にばれたら問答無用で斬り殺されるし、進入がバレたらそれだけでブラックリストに名前が載る。殺される理由となる。 ……私だって宿に居るプレイヤーを襲うのは気が引けるってのに、あちらは余程本気らしい。 ――私が、楓が。やがて脅威になる事を恐れているのだろう。 奇襲で私達の命を刈り取るつもりだったらしく、降って来たプレイヤー2人は最初の攻撃をかわされた事に困惑していた。 駄目。全然駄目。またこのゲームを、最初からやり直して貰う事としよう。 ……隠密行動に特化した2人は、楓が1人で瞬殺してしまった。 【楓:宿もバレちまってるみたいだな。もう、さっさと逃げるか】 【小夜:そうだね】 窓を開けて、2人の死体を外に投げる。侵入を許したとなれば、宿の護衛をしているプレイヤーの報酬が下がってしまうのだ。 私達なりの思いやり。 死体を投げると、私達も窓から飛び出した。空に浮かぶ満月。実際に当たっている訳では無いけれど、頬に感じる秋の風。
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