9人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし……。えっ、マジで?うわ~、ヤバヤバじゃん……。それで?……分かった。俺がそっちに向かって話し通すから……。」
雅和はそう言うと電話を切った。
「憐、ごめん。仕事!!!!」
「うん、いってらっしゃい。」
「詳しくは夕方な!!」
「分かった。僕はみんなに伝えておくよ。」
「サンキュー!!」
雅和はお礼を言うと廊下へと向かっていった。憐は指令室に戻ると騒がしいことに気付いた。状況を確認すると近くに居た指令員からあることを頼まれた。
「分かった。それは僕がやる。それと……。」
憐は電話番号の書かれた紙を渡した。
「そこにかけて状況を確認して。」
「どういうことですか?」
「さっき僕に会いに来ていた人、警察官なんだよね。それも刑事で、さっきそれ絡みの電話があったみたいだからさ。」
「分かりました。」
指令員が返事をすると憐は社用携帯を取り出し、電話をかけ始めた。
同時刻、飯田橋駅
飯田橋駅駅員の神楽蒼(かぐら あお)の社用携帯に電話が入った。
「はい、神楽です。」
『蒼、僕だよ。』
「どうしたの、憐。」
『今、事務室?』
「そうだけど……。まさかまた……。」
『そんな感じかな。』
「えぇー。」
蒼は嫌そうな声を出すと手元に紙とペンを出した。
「それで俺はどうすればいいの?」
『多分、雅和からメールが来ると思うからそれに従って。』
「分かった。」
蒼はメモを取り終えると憐の名前を呼んだ。
『うん、どうしたの?』
「何を悩んでいるのか知らないけどさ。大丈夫だよ。もし今日が『始まりの日』だとしても俺らがいる。」
『っ!!!!どうしてそれを……。』
「うーん、なんとなくかな?」
蒼は笑いながら言うと「呼ばれたから行くね」と言って電話を切った。蒼が上司から話を聞き終えると社用携帯にメールが入った。蒼はそれを確認するとホームへと向かった。
東西線1番線ホームで待っていると雅和がやって来た。
「蒼、本当にごめん!!!!」
「謝ることじゃないだろ。ホームに降りたのは最悪だけど。」
「だよな、だよなー。」
「そっちに入った情報は?」
「メールにも書いた通り犯人が神楽坂駅のホームから線路に降りて逃走。飯田橋方面に向かっている。」
「そのまま逃げたとしたら、もうここには居ないと思うけど?」
「いや、まだ居るみたいなんだよ。」
「えぇー。」
蒼が不満そうな声で言うと雅和は「そうだよな」と頷いた。
「でもこの作戦なら大丈夫!」
「本当に?」
「あぁ!そのためにホームから乗客を避難させたんだから!」
「それで俺は?」
「民間協力者!」
雅和が元気よく言うと蒼は小さなため息を吐いた。
「あーおー、元気出せよー。今度、お詫びに浦安に行くからさ?」
「それお詫びじゃなくて遊びに行きたいだけだよね?」
「そーとも言うな!!」
雅和が笑うと人の気配がした。
最初のコメントを投稿しよう!