Network.01 帝都を守りし9つの光

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「蒼……。」 「分かってる。雅和のタイミングで捕まえて。」 「分かった。」 雅和がそう言うとホームをよじ登る人物が現れた。2人は隠れて完全にホームに上がるまで待った。 「動くな。」 雅和が言うと犯人は慌てて階段のある方へと向かった。しかし階段の方には蒼が立っており犯人は舌打ちをした。そして上着の中から刃物を出すと蒼に向かっていった。蒼が犯人を避けると雅和が素早く犯人を取り押さえた。 「まずは銃刀法違反で逮捕だな。」 雅和はそう言うと犯人の手に手錠をかけた。 「ご協力いただきありがとうございます。」 「いえいえ。」 雅和と蒼は事務的な会話をするとホームを後にした。 数時間後、16時 蒼は南北線ホームである人物を待っていた。 「そろそろだな。」 列車が入線し、ドアが開くと学生服姿の女性が蒼に抱きついた。 「あーおー!ただいまー!!」 「おかえり、優。何度も言うけど仕事中に抱きつくのはやめて……。」 蒼がそう言うと白金優(しろかね ゆう)は「えぇー」と言って頬を膨らませた。 「ちゃんと周りは気にしているんだから良いじゃん!!!!」 「はいはい。」 「それで今日の仕事は!?!?」 「終わり。」 「やったー!!この後、遊びに行ってもいい!?!?」 「だーめ。この後は本部に行くよ。」 蒼が言うと優は首を傾げた。 「どうして本部なの?」 「憐から送られたチャット、見てないの?」 「そう言えばまだ見てない。」 優はスマホを取り出してメッセージアプリを開くと蒼の顔を見た。 「『話したいことがあるから17時に大手町本部の執務室に来るように』ってどういうこと?」 「そのままの意味だよ。」 蒼はそう言うと改札の方へ向かって歩いた。優も後を追うように歩いたが不安そうな表情をした。 「憐が平日に送ってきたの珍しいね。」 「そうだね。だから俺も仕事を切り上げることになったんだけど。」 「うん……。」 優が頷くと蒼は急に立ち止まった。 「大丈夫だよ、優。」 「でもそれって!!!!」 「ソウルサークルが導くよ。」 蒼は優のソウルサークルに触れると優は「そうだね」と答えた。 「それに俺らにしかできないことだ。逃げることは決してできない。」 「分かってる。それが路線能力者の使命だから。」 優が言うと2人は再び歩き始めた。 「じゃあ、改札に入ったら事務室の入口で待ってて。すぐ着替えるから。」 「分かった。」 優が返事をすると蒼は優の頭を優しく撫でた。
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