第7章 恋する乙女とデート大作戦!

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「……ほんと。最近の私、ちょっとどうかしてるわね」 美月は額に指を当てると、軽く頭を左右に振る。 それは俺も同じ気持ちだが、好きな子がいるか──それを訊いて、あいつはどうするつもりだったのだろう。 「あ、あの……ところで美月ちゃんはどうしてメイド服を着ているんですか?」 何気なく俺と同じ質問をする若葉。まあそりゃ、気になるよな。 「え? な、なんでって……ここがメイド部だからよ。わ、悪いっ?」 「い、いえ。すごく可愛くていいと思います」 「んっ……あ、あんたまで……ほ、ほんとばか」 美月は恥ずかしそうに若葉から顔を背けた。 「あっ、メイド服といえば、さきほどここへ来るまでに眼鏡メイドさんとお会いしましたけど……もしかしてあの方、部室を訪れたのでしょうか?」 「そうだな──若葉、お前にも眼鏡メイドとのやり取りは話しておくべきかもしれねーな」 「?」 不思議な顔をしてコクリ首を傾げる若葉に、俺はこれまでの出来事を説明した。 もちろん余計な会話は省略してだけどさ。 説明終了──若葉は両手をクッと握りしめて顔を持ち上げると、 「わ、わたしも桐生君同様に生徒会選挙に絶対勝ちたくなってきました! 美月ちゃんを、大切な友達を悪く言われて黙ってはいられません!」 珍しく若葉が闘志を顕にしている! まるでメラメラと炎が見えるようだが、やっぱ怒ってるところも可愛いなあ。 「鼻の下伸びてるわよ、変態」 美月が恨めしげに口を尖らせた。 「……ま、とにかく選挙に勝つには今のままじゃ話にならない。相談者が来ないなら、別の形で俺たちからアプローチする必要がある」 「なによ? 秘策でもあるわけ?」 「いや、別に秘策ってほどじゃねーが、前に先生から言われたんだ。生徒の役に立ちたいなら、校内清掃から始めてみればどうですかってな」 「また掃除? なんでこの私がそんなことばかり……」 「なにも生徒の役に立つのは悩みを聞くだけじゃねー。地道だけど、皆の過ごしやすい環境を整えるってのも立派なメイド部の活動だと俺は思う」 「なるほど! 見えない努力こそ真の努力というわけですね!」 「まあそんな感じだ」 さっきから異様に張り切る若葉に、俺はまたしても萌えの感情を抱いてしまった。 美月にはない可愛らしさが若葉にはある。なんかスゲー癒される。
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