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姉と陽平さんは居間に通され、二人が横に並んで座り、テーブルを挟んで父と母が座る形になった。
僕はどうしたものかと思い、四人から少し離れた、それでも話は聞こえる位置のダイニングに腰掛けた。
「それで話って?」
沈黙を破る第一声は、母の声だった。
姉の醸し出す深刻さを母も感じているのだろう、できだけ優しく聞こうとしたようだが、不安そうな声音が隠しきれていない。
父も普段は厳格な父ではなく、よく冗談を言っては自分で大笑いするような父なのだが、この時ばかりは一切の冗談も言わず、真剣な表情をしていた。
再び訪れる沈黙。
固く結ばれた姉の唇が、おもむろに開かれると、
「子どもが出来たの」
僕を含め、その場の誰もが言葉を失った。
子ども?
誰の?
姉の?
目がある一点を見つめたまま動かせなかった。
誰と?
「もしかして……」
僕の声に視線が僕へと集中する。でも、その後を続けることが僕にはできなかった。
「お父さん、お母さん」
その言葉に父と母の目は姉へと戻る。
僕も姉の顔を伺った。
「私、子どもが出来たの」
姉の右手が持ち上がり、
「彼との子どもが」
その手の先に、真剣な表情の陽平さんが座っていた。
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