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都季は、位置付けが上がれば楽になるというのは本当だなと思った。
部屋付きは、立てば直ぐに水を汲める井戸端で洗濯をしているのだ。しかし都季がそこに混じることは許されなかった。
着物の中には、扱いに気を配らねばならぬ娼妓らの高価な物もあったからだ。
都季は井戸から少し離れた木の下まで水を運び、そこで一人で洗濯した。
水を運んでは洗って干し、また水を運んでは洗って干す。それだけで済むならまだよいが、敷布が乾けばそれを取り込んで綺麗に畳まねばならない。
次第に日が暮れた。
軒に提げられた沢山の釣り灯籠が、雪美館を明々と照らしていた。
上機嫌な客の笑い声は、洗濯場のある裏庭にまで届いてきた。
また増えたのか……。
都季は背中に人の気配を感じたが振り返らなかった。やって来たのは部屋付きで、汚れた敷布を空の桶に放り込んでいるのだと、背中を見ずとも分かっていたからだ。
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