第2話

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そんな都季が噂話の内容を知ることになったのは、それから直ぐのことである。 廻廊を駆け回っていたシノが、店じまいの時刻を過ぎても一人で洗濯している都季の姿に気付いたのだ。 *** シノも雪美館の下女で、彼女の持ち場は調理場だった。 そして調理場にも部屋付きが流した噂は届いていた。 シノは、噂されている新入りが都季だったとは夢にも思わなかったと、その内容を全て都季に話した。 彼女はどこか抜けたところがあり、嘘のつけない性格だった。 「本当に、なにか粗相したの?」 シノは手伝ってあげると言い、都季の隣で洗濯を始めた。 都季は「私と話すと仕事を辞めさせられるんでしょ。手伝わなくていいよ」とシノを止めたが、シノは「もう遅いから誰にも見つからないよ」と言った。彼女は優しい性分も持っていたのだ。
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