第2話

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女将様は私の心を見透かしていたんだろうか。 都季は、粗相の理由をずっと考えていた。礼に問題があったのは確かだが、何が問題であったのか、未だに分からないのだ。 「都季ちゃん、下舎はこっちだよ」 露地でシノが呼んでいる。 今さら考えても、もう遅いか……。 都季は肩を落とし、とぼとぼと歩を進めた。 *** 下人は、茶屋の裏手にある長屋で寝起きしていた。そこを下舎と呼んだ。 下舎は四畳半ずつに区画されており、下人はさる二人を除き、三人ないし五人の共同で一室を使用した。 さる二人とは、責任者を務める妙児と、部屋付きの長であり次期責任者と言われていた女長(じょちょう)である。この二人には、自室が与えられていた。
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