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都季は首を傾げた。
それと下品な礼に、どんな繋がりがあるのかと思った。
「えっと、皇家役人様と、そのご子息様に……」
「皇家役人?」
妙児はじろりと都季を睨み付けた。
眉間には深い皺が刻まれている。
「お前は一体、どこから来たんです?
一日中洗濯をさせておいても根を上げない所を見ると下女でしょう。
まさか、その皇家役人の屋敷から逃げてきたんじゃないだろうね」
「違います!
私は、普通の役人様の屋敷で奉公してたんです。
だけど、そこのお嬢様が皇家役人様の御子息と婚儀をあげる事になって……、それで……、私も皇家役人様の屋敷に行くことになってたんですけど、お嬢様に追い出されて……」
妙児は何も言わなかった。
この年齢で男の奪い合いとは。と、ませた話に眉が少し動いたが、下賤であるがゆえに翼を広げられない辛さは、妙児もよく知っている。
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