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年齢を重ねれば、あんなことで思い詰めていたのか、と若かりし日の自分を嘲る余裕も出てくるが、若い時はそれに本気で悩むものだ。
この娘は強いかもしれない、と妙児は思った。
***
妙児は、都季がやってくる少し前に裏庭から戻ってきた。
裏庭には、畳み場と呼んでいる休み場所がある。
そこは、取り込んだ洗濯物を畳む為の場所だ。四方に柱が立ち、茅葺の屋根がついている。壁は一方しかない。
妙児は、壁際に置かれた籠(かご)に手燭を近付け、畳まれた敷布を手に取った。
「あの娘……」
思わず目を剥いた。籠から三枚も四枚も敷布を取り出し、全て広げて点検した。
折しも、背後で人の気配を感じた。
「まだ仕事をしていたのか?」
そう言って、畳み場に上がってきたのは女将だった。
女将は、妙児が広げた幾つもの敷布を見下ろすと続けて言った。
「育ててみる価値は?」
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