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「…っ」
朝日が、淡いブルーのカーテンから差し込むのを感じて重い瞼をこじ開ける。
その光の眩しさに目が覚めて、
見慣れない目の前の景色に誘われるように瞳を見開いた。
真上には派手な桃色天井、柔らかくない枕。いつもより硬く感じるベット。
なにより、身体が鉛のように重くて頭が割れそうに痛い。
え、えっと……?
まだ回らない頭を整理しようとして
と、とりあえず。
「今、何時…、…」
いつものようにベット横の書棚に置いた携帯画面を確認したくて
手を横に伸ばしただけなのに、なにか…軟らかくて温かいものに触れた。
えっ?
な、…なに!?
「……っ?」
ゆっくりと目線を隣に向けて、
数秒後…
目を見開いて…
頭が真っ白になった。
「…えっ!?」
これは、まだ夢の続きでも自分はみているのだろうか。
いや、そう…、夢なのだと思いたい。
夢に違いない。
だって。
だって隣には──
睫毛が長くて日焼けした小麦色の肌の男の子が…静かに寝息を立てて眠っていたから。
布団を頭までかぶって、薄茶色の前髪と端正な顔以外見えないが、
どう考えても自分よりは若い。
なぜって…
肌がつやつやしてるから。
って、
若い男性が朝起きて隣に寝ていました~
なんて、そんなこと。
ドラマや漫画ではあるかもしれないけれど、
実際に起きるわけないってば、ねえ?
ってか、ここどこっ?
見渡しても身に覚えのない光景ばかりが視界に飛び込んでくるから、
より混乱してしまう。
桃色の天井の真ん中には大きなシャンデリアのようなものがあって、
キラキラとカーテンの隙間から入る日の光が反射して光っている。
ガラス張りの浴室。
真っ白な絨毯。
キングサイズのベット。
ど、…どうしよう。
二日酔いでか、頭がかち割れそうで、昨日のことが何にも思い出せない。
暫くベットの上で身動きが取れずに心をジタバタさせていると、
聞きなれた自分の携帯着信音が部屋中に響き渡って
「ん~あ、おはよぉ~」
なんて、眠気眼をこすりながら微笑む少年が私の手首を軽く掴んだ。
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