357人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
放課後。
放送室に向かう途中、
廊下の窓から焼跡の
体育館が目に入った。
立ち止まって眺めると、
右半分の壁がすっかり崩れ落ち、
骨組みだけになっているのが分かる。
調べは終わっているのか、
警察官の姿は見当たらない。
いつものバッハ頭の警備員さんが、
ロープの前で見張りをしている以外、
人影は無いようだった。
「萌先輩。…何してるんですか」
振り返ると、加賀月子が
こちらに向かって
歩いて来るところだった。
「火事現場の見学?
…趣味悪いですね」
にっこり笑顔で言われ、
わたしは慌てて窓際を離れた。
放送部室に向かって
歩き出すと、後ろから
軽やかな足音がついて来る。
最初のコメントを投稿しよう!