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塾の自習室を出る頃、 すでに時計の針は 9時すぎを差していた。 思っていた以上の 風の冷たさに身震いして、 身体の前で鞄を抱きしめる。 わたしは、少し足早に バス停へと向かった。 家のすぐ近所に 停留所があるので、 塾の帰りだけはいつも バスを利用している。 この時間は車内も空いているので、 バス待ちの時間が短く済めば かなり楽チンな交通手段なのだ。 塾を出たばかりの わたしの足取りは、 軽かった。 今日は、かなり身のある 勉強時間だったと思う。 色々と、考えたくない事を 抑えつけながらの勉強だったので、 逆に集中できたのかもしれない。 始めは勢いよく歩いていたものの、 …塾から離れるにつれ、 さっき見た光景が 再び頭の中を占め始め、 わたしの足取りは 次第に重くなって行った。
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