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今年も、アニメーションネクストフェスティバルが、東京某所で開催された。
来年度以降の、日本アニメーション業界の動向を紹介し、人気が出るかどうかを業界側がリサーチする目的の、催しである。
業界の思惑、利害が絡むため、各社負けまいと、宣伝等が年々派手になる傾向にある。
ナデシコ、シズカ、陣平、クラスメートの塩浜が、その会場にいた。
陣平と塩浜が行くというので、物珍しさにひかれて、ナデシコと、シズカがついてきたのだ。
大変な人出で、日本人だけでなく、各国からのファンや、業界の人間が集まっている。
人混みにゲンナリしているのは、陣平だけで、ナデシコは無表情、シズカと塩浜は、ごきげんだった。
塩浜は、興奮気味だった。
「今日はまるで、だだだダブルデートだね!」
シズカが、陣平の腕に腕を絡めた。
「そうね。デートっぽい。」
ナデシコは、ふふん、と哀れむように笑った。
「まあ、頑張って下さい。
私はすでに将来を約束した正妻ですから、安泰ですし。
今日は、少し、貸してあげますわ。
"私の陣平"さんを。」
ナデシコは、塩浜に気を使ったということもあるが、第一優先目的は、シズカを陣平と"結ぶ"ことだ。
味方に完全に取り込む必要があるため、瀬織から、シズカの取り込みを意識して生活するよう、陣平のみならずみんなに指示が出ている。
瀬織の指示は、変なところでユルい。
「でも、嫉妬で耐えられない!ってことなら、シズカと張り合って、陣平を奪い合っていいのよん!
ライバルのひとりくらい居ないと、燃えないから。」
瀬織のシナリオでは、理性的な対応を期待してるのは、歳かさおっとりタイプのドジコ、沈着冷静ナデシコ、の2人、直情型スラリは、ライバル役になるだろう、というものだった。
だが、ドジコ、ナデシコ、スラリの中では、一番嫉妬深いのはナデシコである。口にはしないが、腹のそこに秘めている。
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