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「まあ何から話そうかな、『白い闇』の伝来についての説明でもしようか。どうせ書物の内容に関する知識欲以外の欲を削ぎ落とした君、知らないでしょ?」
「………」
「『白い闇』を所有していた家の御当主オルドビス氏は、一代で魔石・宝石を一手に取り扱う商社を興し成功を収めた所謂、」
「成金だな、そいつは知ってる。あの大の能力者嫌いの年寄りの事だろ、何度か会った」
「よく知ってたね。自分の腕一本で成り上がった自負が凄まじいせいで異能力者を毛嫌いしていて、プライベートでは一切側に寄せ付けないともっぱら評判な人なんだけど。…どうやって会ったんだい?一応君も能力者だろ」
「流石に神をも恐れぬとはいい切れない様で、何回か上司の祈祷にお供した事がある。お偉いさん相手の時、俺は記録係として便利らしい」
「その調子で市民の寄付位の仕事はしなよ。まあそんな能力者嫌いだからこそあれは生み出せた物かもしれないけどね」
「あれはオルドビス氏が会社創立の40周年記念と孫の結婚祝いの為にわざわざ作らせた逸品でね、なんと」
そこで焦らすようにたっぷり数拍間を取って、
「あの、悪名高いクロゾラを主役に置いた、前代未聞の品なんだよ!」
「は?なんだそれ」
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