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ディーネは椅子にもたれて空を仰いだ。
「現代の能力者の言い種とは思えないよ。どこの宇宙人に拐われてたんだい?」
「生憎現代の情報には興味が無いんで」
「能力者の常識としてクロゾラの事ぐらいは知ろうよ。あ、もしかして君、魔石創れないタイプだったりするのかい?」
「石って時々ギルドの方で武器に何か細工してるあれの事?出そうとして出せる物なのかあれ」
「…教会はもっと今流行りの本とか雑誌とか読ませるべきだね。まあ、聞くより見る方が早いと思うし、いい加減それ読み終えてくんないかなぁ、視界的に邪魔なんだよ。どうせ力使えば一瞬で読み終わる癖に」
「記録と記憶は違うんだ、記録とは即ち」
「ふうん、ちょっとは面白そうだけどまあ今は黙って見てよ」
そう言いディーネは奇術師の様な優美な仕草で指を握りこみ、
数瞬後、彼女の指の間から淡いブルーの雫が一筋糸を引いた。
そのまま手を開くと、掌にとろりとした同じ色の液体が広がった。弄ぶ様に再び握ると、圧がかかった箇所から深い青のグラデーションがかかり、すぐにかき消えていく。
「これが僕の魔石、蒼霧石さ。あ、これ僕以外が下手に触ると指が一生使い物にならなくなるから止めといた方が良いよ」
バルナバは瞬時に身を引いた。
「…確かにひんやりする。もし俺がこれを体内に取り込めたら使えるってことか?」
「と思うけど、今のところできた人間はいないね」
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