シーン4 #2

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 ◇  友希達がヒデオと戯れている時、同じフロアの『犬鳴桜子非公式ファンクラブ』の部室では、サングラスを掛けた十人近くの男達がやけに薄暗い部室内で謎の会合を行っていた。  移動式のホワイトボードには本日の議題が大きく書かれている。その議題名は――三途川友希殲滅作戦。 「映作部を立ち上げた段階から我らの可憐な花(桜子のこと)を独り占めし、今朝は公衆の面前で頭を撫でてもらうという、うらやまけしからん行為を我々に見せ付けてきた! もう我慢ならん!」 「落ち着けナンバーセブン。奴らが生ける伝説『堕天使のミカ』を傘下に収めた今となっては後の祭り。それもこれも今まで作戦実行を延期し続けてきたアンタの責任だ。どう落とし前をつけてくれるんだ? ナンバーワン」 「そう血の気を滾らせるなナンバースリーよ。馬鹿ではあるまいし」 「何だとッ!」  椅子から立ち上がったナンバースリーを、周囲の者が止めに入った。怒りの矛先を向けられているナンバーワンは、ニヤリと意味深な笑みを見せる。 「もうすぐ私が使いに出したナンバーナインが戻ってくる頃だ。有益な情報を持ってな」 「有益な情報?」  ナンバーフォーが眉間にシワを寄せたところで部室のドアが勢いよく開かれ、皆と同じくサングラス姿の男子生徒が飛び込んできた。 「ナンバーナイン、只今戻りました!」 「報告を頼む」 「はい! ナンバーワンの読み通り、堕天使のミカは三日間の欠席届けを提出しています。憎き映作部の顧問でもある皿屋先生に確認したところ、あっさりと薄情しやがりましたよあのアラサー」  ナンバーナインが持ち帰った吉報に、部室内は喜びの声で溢れた。 「ご苦労だったナンバーナイン。と、いうことだよナンバースリー」 「ぐっ……!」  悔しそうに下唇を噛み締めながららも、ナンバースリーは自分を止めていた仲間の手を振り解き大人しく席についた。
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