33人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「攻め落とすのなら今が好機。否、寧ろ今しかないということですな」
「その通りだナンバーシックス。本日の議題はその作戦についてだが、何かいい案はないか?」
ナンバーワンがアイデアを求めると、程なくしてナンバーテンがスッと手を上げた。
「こういうのはどうでしょう。奴らの部室に侵入して、高価な機材を滅茶苦茶に壊してやるのです」
「浅はかな考えだな」口を挟んだのは、ナンバーファイブ。「お前は新入りだから知らないのだろうが、三途川友希は我らを警戒して貴重品は一切部室に置いていない。我らのライバルはそこまで間抜けではないのだよ。それに何より、一輪の薔薇(桜子のこと)を悲しませてしまうような作戦は論外だ。なぁ、ナンバーエイト」
「ラーメン食いてぇ」
「ともかくそういうことだ。他に案があるものは?」
ここで満を持して手を上げたのが、知将ナンバーツー。ついに彼の奇策がきたかと、部の面々は騒ぎ出す。その場を静めるべく、ナンバーファイブが声を張り上げる。
「静粛に! ほら、お前も場を静めろよナンバーエイト!」
「ラーメン食いてぇ」
少しずつ雑音は消え去り、部室は静まり返る。ここでようやく、ナンバーツーが口を開いた。
「ズバリ、人質だ。三途川友希と交友関係のある者を人質に捕り、映作部を辞めるよう約束させる。そうして部長を失い活気をなくした映作部に、我々が全員で入部するのだ」
「か、完璧だ!」
「ブラボー!」
「流石は知将ナンバーツーだぜ!」
中々に穴があるように思えても、彼らにとってはこれ以上ない妙案のようだ。
「では、肝心の人質を誰にするかだが」と、ナンバーワン。ちなみに議論するまでもなく、桜子は候補から除外されている。
「三途川友希の妹はどうです? チビですし捕らえるのは容易いかと」
「残念だがナンバーナイン、私の仕入れた情報によると彼女は自転車で元番長・大盛りの大森に突撃するほどアグレッシブなのだそうだ。オススメは出来ないな」
ナンバーワンに反論され、ナンバーナインは残念そうに頭を垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!