シーン4 #2

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「攻め落とすのなら今が好機。否、寧ろ今しかないということですな」 「その通りだナンバーシックス。本日の議題はその作戦についてだが、何かいい案はないか?」  ナンバーワンがアイデアを求めると、程なくしてナンバーテンがスッと手を上げた。 「こういうのはどうでしょう。奴らの部室に侵入して、高価な機材を滅茶苦茶に壊してやるのです」 「浅はかな考えだな」口を挟んだのは、ナンバーファイブ。「お前は新入りだから知らないのだろうが、三途川友希は我らを警戒して貴重品は一切部室に置いていない。我らのライバルはそこまで間抜けではないのだよ。それに何より、一輪の薔薇(桜子のこと)を悲しませてしまうような作戦は論外だ。なぁ、ナンバーエイト」 「ラーメン食いてぇ」 「ともかくそういうことだ。他に案があるものは?」  ここで満を持して手を上げたのが、知将ナンバーツー。ついに彼の奇策がきたかと、部の面々は騒ぎ出す。その場を静めるべく、ナンバーファイブが声を張り上げる。 「静粛に! ほら、お前も場を静めろよナンバーエイト!」 「ラーメン食いてぇ」  少しずつ雑音は消え去り、部室は静まり返る。ここでようやく、ナンバーツーが口を開いた。 「ズバリ、人質だ。三途川友希と交友関係のある者を人質に捕り、映作部を辞めるよう約束させる。そうして部長を失い活気をなくした映作部に、我々が全員で入部するのだ」 「か、完璧だ!」 「ブラボー!」 「流石は知将ナンバーツーだぜ!」  中々に穴があるように思えても、彼らにとってはこれ以上ない妙案のようだ。 「では、肝心の人質を誰にするかだが」と、ナンバーワン。ちなみに議論するまでもなく、桜子は候補から除外されている。 「三途川友希の妹はどうです? チビですし捕らえるのは容易いかと」 「残念だがナンバーナイン、私の仕入れた情報によると彼女は自転車で元番長・大盛りの大森に突撃するほどアグレッシブなのだそうだ。オススメは出来ないな」  ナンバーワンに反論され、ナンバーナインは残念そうに頭を垂れた。
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