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「私、ついに見つけちゃったんですよフフフのフ。正真正銘呪いのビデオ! オカルト好きの夢、呪いのビデオ!」
「違うよ桜子さん! ヒデオだって! 呪いのヒ・デ・オッ!」
「え?」
タイトルをマジマジと見つめる彼女の顔が、見る見るうちにしょんぼりしていく。何だか悪いことを指摘してしまったみたいだ。
「細けーなぁ友希は」これは宗太郎の声。「そんなのただの誤字だろ。『ビ』と『ヒ』を書き間違えただけだって」
まぁ、妥当な考えだ。そもそもそんな古ぼけたうえにどう見ても手書きでタイトルが書かれたビデオが棚に並んでたという時点で、物凄くオカルト臭い。僕レベルの怖がりになると現時点で怖いもんね。
「まーそうしょげるなよ。観てみればわかるって。な?」
兄貴が桜子さんを励ましている。これじゃあ僕が悪者みたいだ。桜子さんに元気を取り戻させるためにも、本物であってほしい。いや、でもそれはそれでかなり嫌だ。
でも、ビデオの内容を確かめる前に大問題が一つある。
「えーと、ビデオデッキないんだけど……」
そう。映作部の部室にはテレビがない。パソコンはあるが再生できるのは当然DVDのみだ。これはどうしようもない。ビデオが観られなくて残念だホントに。ふぅ。
「それなら問題ありません」僕の安堵を一蹴して、桜子さんは立ち上がる。「皆さん、着いてきてください」
部室を出た彼女に連れられ辿り着いたのは、同じ階層にある別の部室の前。扉には『ビデオデッキ研究部』と書かれたプレートが。ドンピシャにもほどがあるだろ!
「おお! 超ラッキーじゃん。てかこの学校、無駄に部活多いよなー」
「でもここからどうすんだよ? 中に入れねーじゃんか」
馬鹿な宗太郎と違い、兄貴はすぐに鍵の問題に気づいた。案の定しっかりと施錠されていて、兄貴がいくらドアノブを回しても開かない。
「その点も策があります」
桜子さんがニコリと笑い取り出したのは、二本の針金。いやいやいや、そんな鍵穴に突っ込んでグリグリしたところで、簡単に開くわけないじゃないか。
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