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「そんじゃ、俺とィヲェスッァフヴが一階散策。友希と宗太郎が二階散策な」
「ちょっと待ったーっ!」
大声で意見したのは宗太郎。僕もお前に賛同するぞ。ビビり二人をコンビにしたら、もしその怨霊に出くわした時に何の対応も出来ず失禁するのがオチだ。チーム分けをするなら、肝が据わっている女子二人と軟弱な男子二人から男女の形式でチームを作るべきだ。
「何だ組み合わせに不満があんのか? なら正々堂々、グーパージャンケンで決めるか」
兄貴が提案して、拳を前に出す。グーパージャンケンというのはグーとパーのどちらかをせーので出して、グーチームとパーチームの二チームに分ける効率的で便利な方法だ。地方により呼び方は様々だろうが、少なくとも僕と兄貴はそう呼んでいる。
「宇宙人はやり方わかるか?」
「わかるわ」
わかるのかよ。まぁ、わかるならいいけど。
「じゃあいくぞ! ジャーンケーンポンッ!」
という具合で、チームが決まった。
まず一階担当が兄貴と宗太郎のチーム。そして二階担当は僕と宇宙人のチームだ。本心を言えば兄貴の方が心強かったけど、まぁいいさ。宇宙人でも宗太郎よりは何倍も心強い。
「安心して愛希ちゃん。何があっても俺が守ってあげるからね! 何なら手でも繋ごうか?」
「塩まみれな奴の手なんか握れるか」
全身お清め作戦が思わぬところで裏目に出たな宗太郎。
「……あの」と、宇宙人の小さな声。「よ、よろしく」
モジモジしてて、顔(正確には喜怒哀楽を表現できる特殊ヘルメットらしい)を赤らめている宇宙人。そういやUFOから放り出された彼女を兄貴と間違えて受け止めた時、フラグ立ってたんだっけ。うわぁ、どうしよう。
とりあえず二階担当なので、僕と宇宙人は階段を探した。階段自体はすぐに見つかったんだけど、蜘蛛の巣が張り巡らされていてとても上れない。
「どうしようか」
「あの……こんなのありますけど」
宇宙人が持っていたのは竹箒。玄関の隅で見つけたのだそうだ。それで蜘蛛の巣を絡め取りながら、僕らは少しずつ階段を上っていく。
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