シーン5

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「うわわっ、マジで悪霊だ!」  これは宗太郎の声。ヒデオさんの時もそうだったが、コイツは半分妖怪のくせにお化けが怖いらしい。兄貴の背に隠れて完全に縮こまっている。情けない。いや、ついさっき宇宙人にしがみついた僕が言えることじゃないか。 「まだ仲間がいたか。仲間も宇宙人だったら多少分が悪かったが、人間なら私の獲物よ。纏めて私の脅かし技で一週間は眠れないレベルの恐怖を植え付けてやるわ!」  この霊、イマイチキャラが掴めない。 「恐れおののけっ! 七十七の脅かし技の一つ・バニシングポルターガイスト!」  この技名をちょっぴりかっこいいと思ってしまった自分が恥ずかしい。でもこの技、効力も結構かっこいいのだ。周囲に散乱していたゴミがふわりと浮かび上がり、地縛霊の周囲を旋回している。 「いけっ!」  命令と同時に放たれた牛乳パックの成れの果てが、宇宙人のだだっ広い額に命中した。その後も次々と飛んでいくゴミが兄貴達を苦しめる。所詮ゴミなのでダメージ自体は少なそうだが、黙って見ているわけにはいかない。今まともに動けるのは、一人部屋の隅で蚊帳の外扱いされている僕だけなのだから。  塩爆弾がそのままでは使えないとわかった今、方法としては塩爆弾のビニールを開封して塩を直接幽霊に浴びせるのが有効な攻撃手段だと思う。だが、そうなると幽霊に接近しないといけない。  それは怖い。怖いものは怖い。助けたい気持ちは山々なんだが、できればその手段は遠隔攻撃に限定してもらいたい。  塩爆弾以外で幽霊を離れた位置から退けられる可能性があるもの。実は一つ手元にあるんだ。そう、偉大なる守護霊様・ジャンボタニシの西田に他ならない。  神様曰く、悪しき霊には間違いなくその力を発揮してくれるんだとか。ならば今こそ使い時。てか、ここで使えなかったらホントにただのウンコだ。  西田を頭の上から掴み取り「やれるか?」と尋ねてみた。途端に燃え上がる青白い炎。これはいつぞや見た炎と同じものだ。桜子さんを宇宙人から救出したあの夜、迫り来るUFOに対し万を持してというタイミングで西田は炎を纏い、そしてあっけなく弾かれたんだっけ。  うわぁ、期待できねー。
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