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「一人でこれだけ荒らすのは難しい。映画製作部の連中が全員でやったんじゃないのか? なんせあの部は『堕天使のミカ』がいるおっかない部だからな」
「まさかとは思うが……奴らはDVDプレーヤー派の連中の手先だったんじゃないか?」
男子部員の一言に、他の部員達の表情が強ばった。
「くそっ! ただでさえ絶滅の危機に瀕しているビデオデッキを、まだこれ以上苦しめようってのかよ! DVDプレーヤー派の奴らめ!」
「テープ巻き戻し音が奏でるメロディの美しさが何故わからないんだ。理解に苦しむよ」
「でもDVDプレーヤー派と決まったわけじゃないわ。ブルーレイレコーダー派の可能性も捨てきれない」
唯一の女性部員の発言に衝撃が走った。
「近年急速に成長しているブルーレイレコーダー派だとしたら、放ってはおけない! 我らで退治するべきだ」
「戦うだなんてそんな! あの映像美、録画可能時間……考えただけで震えが止まらないよ」
「それに先ほども言ったが、奴らには堕天使のミカが着いてる。俺達では到底敵わない」
「あ、堕天使は三日間休みだそうですよ。友達が堕天使と同じクラスで、今朝担任がそう言ってたそうです」
新入りの後輩が入手していた情報により、希望を失っていた部員達の目に光が戻った。
「そうと決まれば戦闘準備よ! 確かこの辺に攻撃力の高いビデオデッキがあったような」
「待ちなさい。俺に妙案がある」
万を持して、部長が口を開いた。攻撃力が高いビデオデッキという発言に対しツッコミを入れる者は、残念なことにいなかった。
「堕天使の名を聞いて思いついた。何も我らが直接手を下す必要はない。ククク! 首を洗って待っていろ映画製作部! ビデオデッキ達を葬ったことを後悔するがいい!」
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