シーン6 #2

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「私は生き返るつもりなんてありませんよ」  救いの手を差し伸べたのは、仁美本人であった。 「自らの手で命を絶った分際で生き返ろうだなんて、虫が良すぎます」 「そっ、そうか。俺はキスくらい全然平気だったんだけどな」  今更な強がりにクスリと小さく笑うと、仁美は遠くを見るような目で天井を仰いだ。 「……それに、一人で生き返ったって仕方がないもの」 「ん? 何か言ったか?」 「ううん。さぁ、食べましょう! ピザをお供えしてもらっていいですか?」 「あ、今度はワタシがやるわ。そのオソナエっていうの」  こうして、女三人の楽しい夜は更けていく。  ◇  ピザ食ってゲームして、男二人の虚しい夜を過ごした僕と宗太郎。春重は何故か電話に出なかった。アイツは生真面目だから出ないはずがないんだけどな。何処かにでも落としたんだろうか。 「さあさあ、愛希ちゃんの部屋に案内してもらおうか!」  風呂上がりの宗太郎がソファーで寝転がる僕を仁王立ちで見下ろした。そういえばそれを餌に泊めたんだったな。さて、どう誤魔化すか。 「もう寝るのか? まだ九時だぞ」 「俺は良い子だから毎日九時に寝るんだ。さぁ、早くっ!」  どうやら案内する他なさそうだな。宗太郎を引き連れ二階へ向かいながら、僕は策を練った。  三途川家の二階にある居室は、子供室が二部屋に夫婦室が一部屋。両親が共に単身赴任中なので、夫婦室が兄貴の部屋だと偽り泊めるのがてっとり早い。だが、いくら馬鹿の宗太郎とはいえ流石にバレそうだ。生活感が全くない部屋だからな。ベッドぐらいしか置いてないし。  となると、答えは一つだ。本当は嫌だけど、コイツを兄貴の部屋に放つのはもっと嫌だからな。 「兄貴の部屋はここだ」  そう言って開いたのは、僕の部屋の扉。 「ここが愛希ちゃん禁断の花園かぁー。やっぱり部屋も男っぽいんだな」  そりゃあ正真正銘男の部屋だからな。
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