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「アタシ達はOKM48のOチーム。喫茶マオカを基盤にしているチームだから、チームリーダーはアタシよ」
「凄い! 都市伝説じゃなかったんですねっ!」
先程までの涙は何処へやら。都市伝説を目の当たりにした桜子は興奮した様子で勝負の行く末を見守る。終始OKM48が優勢のまま、やがて勝敗は決した。
任務を遂行したオカマ達は、次々と夜の闇へと消えていく。そのうちの何人かは、好みの不良を担ぎ上げ去っていった。連れ去られた不良達がその後どうなったのかは、知る由もない。
不良の墓場に残ったのは、桜子と望とオカマスターに、フサ子とジョリ美。
「桜子ちん。大丈夫だったー?」と、改めて望が確認する。
「大丈夫です。ありがとうございました望ちゃん。マスターにオカマさん達も」
「イヤーン超カワウィウィーッ! ジョリジョリしちゃいたーい!」
有名人に会い興奮したジョリ美が身をくねらせ喜んでいると、フサ子が桜子の鞄と紙袋を拾い持ってきてくれた。
「これ、アナタのでしょ?」
「はい。ありがとうございます」
紙袋の中のビデオデッキには傷がついていた。きちんと動くかどうかはこの場では確認しようもないが、壊れていたとしても安い代償である。
「それにしても不用心ね」オカマスターが、説教口調で注意する。
「こんな時間に何してるの」
「ごめんなさい」
「謝られても困るのよ。夜中に一人こんな所をウロウロしてる現役モデルなんて、クズ共の格好の標的じゃない。いい? 男は狼なのよ」
と、男であるオカマスターに言われても、やや説得力に欠ける。だが、オカルトに我を忘れた桜子にも落ち度があったことは素直に認め、彼女はもう一度「ごめんなさい」と頭を下げた。
「まーまーてんちょー。無事だったんだからいいじゃないのさー」
「それもそうね。ところで、向こうでボロ雑巾みたいになってるのはお友達じゃないのかしらん?」
「あっ」
ここで桜子は、自分を守るために立ち向かい次々と返り討ちになった友人達のことを思い出した。すぐさま彼らの元へと駆け寄り、一人一人に声をかける。
「大丈夫ですか? しっかりしてくださいっ!」
「うっ……うぅ」
まず最初に目覚めたのは、ビデオデッキ研究部部長。彼は自分の傍らで粗大ゴミと化しているマイビデオデッキを見て、落胆の溜息をついた。
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