第二章 闇鬼との遭遇

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 酉の刻(17時頃)    夕暮れ時、ハチが見回りを終え『屋敷』へ戻るため永代橋を渡ろうと東詰まで来ていた。ちなみに永代橋は大川に架かる三大橋の中で最も南にある橋である。すると突然、橋を渡っていた町人が上流のほうを指差しながら叫んだ。 「なんだあれは!!」 その場にいた人々が大川の上流のほうへ目をやった。ハチも同じように目を向けると、大川が大きく波立ちどんどんこちらに近づいてくる。だが、薄暗い夕暮れ時ということもありその姿をはっきりと捉える事ができない。目を凝らしながら様子を伺っていた人々の中から大きな声が聞こえた。 「てっ鉄砲水だー!!」 それは、凄まじい勢いと地鳴りのような豪音とともにどんどん橋に近づいてくる。橋詰にいたハチが危険を察し橋を渡っている人々に対し思わず叫んだ。 「危ない、逃げろ!!」 橋の近くにいてその声を聞いた人々は、橋から離れようと悲鳴を上げながら慌てて逃げ始めた。上流から来た鉄砲水はあっという間に永代橋に襲い掛かった。 どどどおぉぉー!!
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